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日本CSO協会 会長 清水昇 様

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CSOのサービスやコントラクトMRについてご説明をお願いします

現在のCSO(Contract Sales Organization)は、3,800人を超えるコントラクトMR(以下:C-MR)をはじめとする営業やマーケティングだけではなく、トレーニングやエデュケーショナルナース、MSL(Medical Science Liaison)やPMS(Post marketing surveillance)に至るまで、広くサービスを提供しています。新薬が承認される直前から、製造販売後のフェーズまでをカバーしていると考えています。

また最近では製薬企業から、より生産性を上げるためのアドバイスや現場の指導育成といったサービスの要望もございます。今後も広いニーズに応えた様々なサービスが展開可能であると考えています。

昨今、ニーズが増しているPMSについてお話しさせていただきます。

MRであれば少なからずPMS業務に関わった経験があると思いますが、近年とみに、PMS業務には高いクオリティが求められています。専門的な新薬の増加により、現場でのPMSモニタリングで様々な有害事象に触れる機会も増えています。質の高いレポートが必須であり、CSOには、今まで以上にPMS要員への再トレーニングやコーチング等のバックアップ強化が求められています。現在CSO各社はPMS業務を請け負うための体制を強化している状況です。またMR職からPMS担当へのジョブチェンジも多数になっています。

次に、CSOのC-MRと製薬企業のMRとの違いについてお話しさせていただきます。

C-MRはプロジェクトの契約の関係で、原則として2年ごとに担当が変わります。例えば、2年間消化器領域のプロジェクトで経験を積み、次に抗精神薬のプロジェクトで2年間、さらに皮膚科領域でというように、多くのC-MRは様々な疾患領域を経験し、知識とスキルを高めています。特に昨今の専門性の高い医師は他の領域の情報に疎いこともあり、幅広い経験をしているC-MRが中立的に患者さんに合わせた情報提供をすることで、副作用マネジメントの上で大いに役立つことがあります。実際に現在では、10以上の疾患領域を経験しているC-MRがどんどん増えており、医師からの高い評価を得ています。

また地方のエリアを担当すると、エリアの中には大きな病院があるので、すぐに基幹病院(HP)担当業務を経験できます。近年、高度で専門的な薬剤が増えてきていますので、MRには大学/基幹病院での活動ができるスキルや、各疾患領域の詳しい知識が求められています。今までのクリニック(GP)市場での鉄則「Share Of Voice」に代表される、とにかく医師を頻回に訪問し、多くのコールで製品名を覚えてもらう、そのようなMRでは通用しなくなってきています。

製薬企業ではどうでしょうか。多くの疾患領域の経験値があるMRといえば、大手製薬企業でのジェネラル領域担当者が思い浮かびます。ただし、現在はジェネラル領域とはいえ専門性の高い薬剤が増えており、経験領域の幅としては狭くなってきています。更にGP市場の経験しかない方は、一定の年齢を過ぎるとHP担当へ異動することは稀だと思います。同じように、ジェネラルMRからオンコロジーなどの専門MRになりたいと希望されても、選抜されるのはなかなか難しいようです。製薬企業では、そこが分かれ道になっているのではないでしょうか。いうまでもなく、ジェネラル領域はジェネリック医薬品との競合が激化の一途となっています。結果として、製薬企業ではジェネラルMRやGP担当MRを十分に育成できず、現実にリストラも行われている状況です。

このような現在のMRが抱える問題に対応できるのは、CSOだと思います。CSO各社は、異業種出身者や製薬企業で十分な経験ができなかったMRにキャリアデベロップメントを行い、HP担当の経験を積ませたり、専門性の高いトレーニングを供給したりして、市場が求めるMRに育成しています。またCSOではMRだけではなく、例えばマーケティングやPMS等といった様々な職種へのジョブチェンジの道も開かれています。一人ひとりが得意な分野でのキャリアを積める場を提供できるのがCSOではないかと考えています。

 

日本CSO協会を立ち上げた経緯と現在の状況をお教えください

CSO各社が成長するに当たり、大きな問題点が二つあったからです。

一つ目として、業界としての認知がなかなか受けられなかったことがあげられます。CSOの市場が成長していった際にも、協会設立以前は、各社個別での活動を余儀なくされていました。業界全体として何人のC-MRがいるのか、各社はどのようなサービスをしているのか、などの重要な情報も、調査会社のヒアリング程度のデータしかありませんでしたので、当然、CSO各社が製薬企業などに信頼されるには程遠い状況でした。業界としてまとまって動けていないので実態もわからず、全体としての力がいつまでも発揮できない、今後各社が成長していくためには協会を立ち上げることが解決策になると考えたことがそもそもの始まりです。

二つ目は、CSO各社がそれぞれ日々競争をしてサービスを向上させようとしているとき、足下に共通の課題がたくさんあったことです。例えば、労働者派遣と業務委託という契約形態やコンプライアンスに関する問題などは、各社個別に取り組むより、共通課題として土台を整備することが望ましいと考えました。どこか1社のCSOの大きな法令違反や社会的責任を果たせない行為が業界全体の評判に傷をつけ、信頼を損ねるような事態を未然に防ぐ為です。協会では設立と同時に各委員会を組織し、テーマを定めて情報共有と議論を進め、業界全体として必要な対応を決めています。例えば法規制についてなら、解釈を統一した上で、各社は何をする必要があるのかを、法務や人事の委員会で議論しています。規模が大きくないCSOでは、リーガルやコンプライアンス部門が十分に対応できない場合がありますので、協会でケーススタディーやトレーニングを行い、各社に持ち帰ることで共通の認識ができています。また昨今大きな問題になっているメンタルケアについては、都庁から専門家の方にお越しいただいて勉強会を実施しました。このような取り組みを重ねることで、業界の質の底上げとレベルアップにつながっていると実感しています。

おかげさまで協会設立5年を過ぎ、監督官庁である厚生労働省、MR認定センター、製薬協等、いろいろなところにお話に行く機会が増えています。これもCSO1社としてではなく、協会として対応していただけるからだと考えています。市場の成長や、どういう内容のサービスを行っているかなど、正しい情報をお伝えできるようになりましたので、認知率も上がってまいりました。マスメディアや業界メディア等の取材も増え、結果として業界全体の成長にプラスに働いたと感じています。

製薬企業がC-MRに求めるものは何でしょうか

CSOの発足当時は次の二つが大半でした。

一つは、製薬企業がC-MRを欠員補充の為に活用するということでした。例えば北海道のある地域で製薬企業のMRが辞めてしまったが、自社採用は困難なので、とりあえず欠員をC-MRで埋めるというケースです。

次に、リクルーティングを目的としたプロジェクトも多数ありました。MRを自社で採用面接した際にはとてもいい評価だったのに、入社後に活動を開始すると全くパフォーマンスが期待値に届かない、各製薬企業でそのようなことが問題となっていました。そこで各製薬企業は、面接だけではなく、パフォーマンスも見てから採用したいと考え、CSOに白羽の矢が立ったのです。多くのプロジェクトは、2年間のプロジェクトでパフォーマンスの良いC-MRに採用オファーを出すという設計になりました。当時は、C-MRも製薬企業で働きたいという方が多く、移籍を目的にCSOへ入社する方もたくさんおられました。

ところが、CSO 発足後18年を経過した今日、製薬企業からオファーをいただいても受けないC-MRが多くなってきました。特に優秀な人材ほど製薬企業へ移籍せずCSOでのキャリア継続を選択する傾向が強くなっています。製薬企業に移籍するより、自己の成長の可能性が高いと感じておられることが、その大きな理由です。

製薬企業へ移籍したC-MRは、大半がプロジェクトで扱っていた製品や市場を継続して担当する場合が大半です。多くはジェネラル製品やGP担当を何年も続けるケースも少なくなく、その後の担当変更もあまりありません。

一方、CSOに残れば、短期でオンコロジーやCNSなどの専門領域や、幅広い疾患領域を経験できる機会が広がります。もちろんHP経験の可能性もあります。プロジェクトの変更の時期には、担当領域を変えたり、ラインマネージメントや他の職種に異動したりといった幅広いキャリアの選択機会を得ることが可能になります。さらにC-MRは2年間という短期でパフォーマンスを発揮し、高い価値を発揮することが求められる環境におかれます。そのためのトレーニングも年々整備されており、必然的により早く成長することが可能な仕組みとなっています。

また、これまで製薬企業は安定業種とされていましたが、今は、外資は勿論、内資製薬企業も大規模なリストラを実施する時代になったことも理由だと思います。大手製薬企業に所属しているMRさんたちも「どうキャリアデベロップメントしていくのか?」「自分はMRとしてどういう価値を提供できるのか?」を自問自答されています。「自分が成長しないと安泰とは言えないぞ」と気付かれる時代も間近に迫っていると思います。

 

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従来のC- MRプロジェクト以外にはどのような案件がありますか

まず一つに、医療機器の業界から案件が来ています。CSOはこれまでほぼ製薬業界のみへサービスを提供していましたが、医療機器の業界もこれから益々需要が増えていくマーケットだと思います。新製品の認可の仕組みが変わり、昔と比べて最近では製造販売承認を早くし、PMS業務を誠実に実施する体制になってきました。結果として新製品の承認数が増加しておりますので、医療機器メーカー各社は営業部隊の強化を急がれています。

機器の分野は、オペの立ち会いなどの高度な手技が求められます。医療機器メーカーには手技教育に対応できる質の良い人材が必要なのですが、小規模な企業も多くブランドが浸透していないために自社での採用が計画通り進まず、CSOの人材を活用したいというニーズも増えています。

さらに、戦略的にCSOを活用しようと考えている医療機器メーカーもあります。機器営業では高度な手技に対応できる設備のある大病院ばかり訪問をしていて、GP市場の未治療患者さんへの治療促進が十分でないという状況があります。そこで製薬業界でいう病診連携のシステムを構築し、より多くの患者さんが最新の治療を受けられるような活動が求められています。それを実現できるのはCSOの人材だと位置付けている医療機器メーカーもあります。

製薬企業からはMSLや、マーケティング分野からの案件が増加しています。

各製薬企業でMSLの部門を強化される流れが加速しており、新しい試みとして、CSOのMSL活用が広がっています。加えて、現場のコメディカルの皆さんに、抗がん剤などの副作用対策や、治療効果を高めるための患者さん対応などをお教えするスタッフへのニーズも増加しています。透明性が求められるこのような業務には、CSOの中立的なブランドが大きな価値をもっています。

ジェネリックメーカーも、我々CSOのクライアントとして急速に増加しております。政策としてジェネリック品の処方比率を80%にする目標の中、従来の価格だけの訴求では難しい、専門性の高い分野でのジェネリック品をどう浸透させるか、などのマーケティング戦略を考えて欲しいというニーズもあります。

今後の展開として、地域包括ケアシステム構築に貢献できる可能性も考えています。居宅在宅治療拡大の流れの中、在宅専門クリニック・薬局・介護施設・基幹病院のネットワークを作って患者さんを重症化させないのが、地域包括ケアのコンセプトです。しかし実際問題としては、GPとHPの間での患者さんの取り合いなどの歴史もあり、連携が上手くいっているところは多くないというのが現状のようです。一方で製薬企業側では地域の状況の把握が難しく、「地域包括ケア推進室」は設置したが何をやっていいのかよくわからない。とりあえずMRに調剤薬局を回ってくるように指示は出しているが、その先が不透明であるという状態です。

混沌としている状況の中、地域包括ケアシステムの多種多様な関係者をつなぐ役割として、幅広い経験値と中立性を併せ持つCSOに期待する意見があります。そうなるとCSO業界のお客様もこれから幅が広がっていくのではないか、と考えています。

このように、日本のヘルスケアシステムはどんどん変化し、それに応じてCSOに求められることも大きく変わってきています。様々なニーズに対応していかなければならないところですが、人材の育成には時間がかかりますので、我々は常に2-3年先を読み、様々なサービスを作り出していくことが必要だと考えています。

C-MRのキャリアの視点でも似たようなことがいえます。例えば、医療機器のプロジェクトで手術立会い手技をマスターして、また次に医薬品のプロジェクトを担当すると、薬剤治療しか経験の無い先生方に、デバイスの知識を提供して新たな治療方針が生まれることも考えられます。医薬品のC-MRが、ジェネリックや医療機器のプロジェクトを経験したり、地域包括ケアを経験したり、また専門的な医薬品の担当に戻ったりできますので、幅広く医療に貢献できるような付加価値の高い人材になることが可能だと考えています。

今後 C-MRを目指す方へのメッセージをお願いします

現在、大手製薬企業で勤務されているMRさんは漠然とした不安を持っているのではないかと思います。

「ネットで医薬情報は入手できる」「MRは医療のコストになっている」といったMR不要論も高まっており、いかに付加価値の高い人材になれるかどうかが問われています。もちろん会社の看板に頼るのではなく、自分自身を成長させていくことが重要です。CSOという業態の中では、MRだけではなくて、いろいろなキャリアを経験することによりご自身の価値を高めることが可能なのです。

自分の価値をもっと高めたい、日本の医療に貢献して患者さんの役に立ちたい、そのために今の延長線上ではなく多くのことを勉強して経験したい、そんなチャレンジャー精神豊富な方。今後5年、10年経ったときに、自分がヘルスケア業界の担い手として世の中を変えてきたと実感したい方。そういった方々に、ぜひCSOにきてほしいと強く願っています。

 

以上

 

清水会長、長時間にわたり大変有意義なお話を承り、誠にありがとうございました。

日々、進化・成長し続けるCSO協会各社で、新たなチャレンジをされてはいかがでしょうか?

 

●日本CSO協会 : https://www.jcsoa.gr.jp/