コラム

小野薬品工業の抗PD-1抗体「オプジーボ」の大型化などによって、長期収載品の薬価引き下げやこうした高額な薬剤の医療保険の給付範囲見直しの議論に発展する。抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体について、非小細胞肺がん(肺がん)の適応だけで7500億円の市場が生まれる可能性があり、新たな薬剤適正化の焦点になると。国は急激な薬剤費上昇を抑えるため、肺がんの適応で各社の上市が始まる2016年以降、新たな適正化策を行う可能性がある。
 同剤は、がん細胞を殺すT細胞の免疫力を高める働きを持つ抗がん剤。がん細胞はT細胞からの攻撃を逃れるためT細胞の免疫チェックポイント分子に結合しT細胞の働きを弱めようとするのに対し、抗PD-1抗体・抗PD-L1抗体は結合を阻害し、T細胞を活性化させる作用機序を持つ。
 国内では、オプジーボが世界に先駆けて悪性黒色腫の適応で149月に発売された。小野薬品は肺がんなどさまざまながん種への適応拡大を予定している。
 オプジーボの年間治療費(薬剤費)は1人約1200万円する。16年以降肺がんの適応を追加し市場規模が急激に拡大することで、市場拡大再算定を受ける。ただ、再算定で薬価が最大25%引き下げられたとしても年間約1000万円の治療費がかかる。 額な薬剤費がかかることに変わりはない。その上で、国内で年間に死亡する肺がん患者約75000人(「WHO GLOBOCAN 2012」調べ)が全員この薬剤を使ったとすると、年間1000万円の薬剤費がかかるため、7500億円の市場が生まれる計算になる。
 国内ではオプジーボのほかに、肺がんの適応で抗PD-1抗体に米メルク(MSD)、抗PD-L1抗体に中外製薬、アストラゼネカ、メルクセローノが治験を行っている。類似薬効比較方式でオプジーボとほぼ同額の薬価が付くことが想定され、将来的にはこの新たに生まれる巨大市場をめぐり、5社がシェア争いをすることになる。医療保険財政に与える影響が大きいことから「年間9兆円の薬剤費を単純に7500億円増やすという話にはならない。国は薬剤費の適正化を行う方向になる」。
 具体的には、新薬創出加算の導入時に長期品の薬価を引き下げ財政中立を図ったように、抗PD-1抗体・抗PD-L1抗体の市場創出の影響で、長期品の薬価引き下げ圧力が強まる。さらに「長期品の引き下げだけでは収まりがつかず、保険給付範囲の見直しの議論に発展する可能性もある。薬価の全額が保険でカバーされる原則が崩れる可能性もある。

予約制 夜間・休日 電話転職相談 「転職相談したいんだけど、なかなか時間が取れない…」そんなあなたをサポートします

無料会員登録受付中職務経歴書・レジュメの書き方や面接対策による転職サポート

PageTop