コラム

【肝炎治療の今昔】

私が製薬会社に入社し、当時はプロパーとして肝炎治療薬を扱っていた1970年前半は、肝炎はウイルス肝炎、血清肝炎、アルコール性肝炎、このような分類でした。当時に健康診断の問診には 『飲酒』の項目があり『日本酒換算で毎日3合以上飲む人は 肝炎→肝硬変→肝がん になる可能性が確実にある』と健康診断時には注意を促されたものです。そんな注意も上の空、私はその当時から毎晩、浴びるほどの飲酒を嗜んでいますが、肝炎ウィルスキャリアーではないことから肝機能は未だに正常です。

当時、A型肝炎はウイルス感染。B型肝炎は血液感染。それ以外の肝炎は nonA、nonB肝炎 は原因も病態もよくわからずにすべての肝炎は治療法も同じで、いわゆる肝庇護剤といわれる薬剤・・・還元型グルタチオン製剤、グリチルリチン製剤、ビタミン製剤、などの治療が主でしたが、治るわけもなく病気の進展を遅れせるのがやっとで、肝炎は不治の病でした。その後、1976年にご縁があって漢方薬メーカーに転職しましたがそのころになってやっと、nonA、nonB肝炎の大多数はC型肝炎で強力ミノファーゲンCプラス、ウルソデオキシコール酸、漢方薬の治療法に代わり、1990年ぐらいまではこの協力ミノファーゲンCを中心として治療でした。この強ミノの治療はGOT/GPTなどの検査値上の改善があり、進展を遅らせることができましたが、ウイルスの消失(SVR)による完治は1992年のインターフェロン製剤の発売により達成できましたが、SVR治率も低く、高い医療費、重篤な副作用が問題でした。

2001年に内服薬のリパビリンが発売され、インターフェロン製剤を組み合わせた治療でSVR率とコンプライアンスがアップ。2004年にPEG-INF2b、2007年にPEG-INF2a、が発売され、リピリンとの併用によりSVR率上がってきました。2011年に直接作用型抗ウイルス薬経口プロテアーゼ阻害剤(テラビック)が発売され、3剤併用の治療が始まり、2剤併用より高いSVR率をえられるようになりましたが、副作用の影響で治療の中心にはなりませんでした。

2013年12月にジェノタイプⅠ型の経口C型肝炎治療薬ソブリアード(ヤンセン)が発売され、2014年の売上は165億円(対前年105億円増)とC型肝炎治療の中心となりました。さらに2014年7月にダクイルザとスンベプラ(BMS)のGT1型に対するIFNフリー療法の登場。

2015年2月にはGT2型を適応としてソバルディ錠(ギリアド.サイエンシーズ)登場し、治療終了後のウイルス陰性化率は治療歴のない患者で97.6%、治療歴のある患者で94.7%と今までの治療法と比べ高い治療効果をもたらしました。また2015年8月にはGT1型を適応とするハーボニー錠(ギリアド.サイエンシーズ)登場し、治療終了後のウイルス陰性化率は全治療の有無にかかわらず100%を達成する完全治療が達成できる画期的な新薬で、このソバルディ錠、ハーボニー配合錠は『年間販売額が1000〜1500億円で予想の1.5倍以上のものについては、薬価を最大25%引き下げの 特例再算定』 を発売1年にして受けた初めての薬剤となりました。

また2015年11月にGT1型を治療対象としたヴィキラックス(アッヴィ)が発売となり、この薬剤はハーボニーが使用禁忌となる重度の腎機能障害患者に投与可能。一方で重度の肝障害患者には投与禁忌となっており使い分けがポイントとなる。国内に200万人に規模の感染者がいると推測されるC型肝炎患者は、このように目覚ましく治療効果を発揮するC型肝炎治療薬の登場で近い将来は日本国内では患者が激減し、新規感染者もほとんどいなくなることから、医療上画期的な治療薬として評価されるところでありますが、高薬価であること。また、今後はC型肝炎患者にすべて投薬した場合の費用対効果や医療経済学の面でこの薬価が妥当なのか。など、医療行政と製薬企業の薬価の在り方でのもう一つの難しい問題を提起したのがこのC型肝炎治療薬であると私は思っています。

作成 杉本 強

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